"ハースストーン杜の都の炉端 byHS愛好会"開催レポート



――クエストの番号下一桁が同じ方を探しています。
かったら対戦してくれませんか!
この言葉とクエスト用紙、それとハースストーン入りの端末を携え会場を歩き回る参加者たち。
彼らの表情は活き活きしたものだった。


2017年11月26日、宮城県仙台市内の戦災復興記念館で
"ハースストーン杜の都の炉端 byHS愛好会"が開催された。











スマートフォンでも遊べるデジタル対戦カードゲーム、ハースストーンには”炉端の集い”(以下、”炉端”)と呼ばれるオフラインイベントが存在する。
”炉端”はハースストーンユーザーなら誰でも公式サイトから開催登録できるようになっている。
”炉端”に参加することでウォーロックのデッキを使う時にヒーローの見た目を変更できる「ヒーロースキン・ネムシー」が入手できる――
そのアナウンスが発表されて以来、”炉端”の数は激増している。



筆者が所属するハースストーンコミュニティ、HS愛好会のオフ会が仙台で行われる事が決まった。
そのさいにせっかくだから仙台で”炉端”を開いて「ネムシー」を取りたい――
そういった事情で開催決定されたのが今回の”仙台炉端”だった。
HS愛好会のオフ会に参加するメンバー約10名にはスタッフとして参加してもらい、少数の参加者と一緒に遊ぶ…
そういった参加者よりスタッフのほうが多いイベントを初期は想定していた。

深く考えることなく、Twitterやハストドンの参加希望者に対してGoogleフォームを使用してアンケートを行った。
アンケートの結果、想像を絶する数の参加希望者がいる事が判明した。
10人も来れば良いほうだろう、そんな予想は裏切られることとなる。30人以上の参加希望があったのだ。


キャパシティ変更、慌ただしい準備期間


当初予定していたキャパシティでは足りなくなってしまい、会場を公民館に急遽変更する必要があった。
(結果的にここで収容可能人数として表記されているものよりも椅子の数を数えたほうが実際人が入った時の面積に余裕が出ることが分かった)
また、催し物に関しても初期に考えたものとは全く違うものになっていった。

企業開催のようなボリューミーでクオリティの高い催し物を一生懸命用意するよりも、
主催者自身がユーザーとして楽しめる範囲でちょっとあったら楽しい催し物を用意する、という方針で固めていくことになった。時間や労力、お金を投資して広告宣伝を行うというハイリスクハイリターンなものよりも、ゆるくちょっと楽しい時間を過ごせるローリスクローリターンなイベントを意識する、ということでもある。

今回はホストとゲスト、主催者とお客様という関係ではなく、参加者自身が自分たちで楽しめるようなイベントを目指すことにした。トーナメントや実況、配信などは最小限にして、参加者同士が声を掛け合って、会話や交流を楽しめるようなきっかけを用意する事を優先した。

具体的に言うと入場時にゆるく2つにチームを分けて試合をしてもらい、相手チームと対戦するところから交流してもらう、というねらいで紅白戦を準備していた。このシステムだと試合終了後に試合結果を受付に報告する必要があったため、煩雑になったり待ち時間が生まれてしまうおそれがあった。

一番のねらいは交流のきっかけを作ることなので、これ以外にも良いプランはないか、チーム戦やトーナメントという色々な形式がメンバー同士で検討された。



そこで、炉端の集い公式サイトのクエスト用紙を利用することにした。クエスト用紙を10種類程度作成、入場時に渡して達成してもらい、全て達成したら景品を渡す。
景品として参加賞、おみやげという機能も果たすことができ、満足度も上げることができるはず…。

クエスト自体を勝利数といったゲーム内で頑張らないといけない条件ではなく、交流や参加者に声をかけるといったゲーム外のことにしてしまえばクエスト自体が人との交流を生み出すものにできる。

ハースストーンが強くないから楽しくない。ということを防げるのではないか…。
そういったねらいがあったが、実際そのねらい通りに機能してくれた。




クエストは短時間で作成したが、「絶対に達成できること」「参加者の性別などで達成不可能にならないこと」「身内で達成が困難なこと」を意識して何度か修正した。
当初は「靴の色が同じ人」という条件のクエストがあったが、
もし女性の参加者がピンクの靴を履いてきて、男性プレイヤー率が99%に近ければ達成不可能になるだろう。

このクエストは「Android端末を持っている人と対戦」「iphoneを持っている人と対戦」といった内容に変更された。



クエスト用紙と名札に入場時ナンバーを振っていたが、下一桁が同じナンバーの人を探して対戦するのが条件のクエストは全員に達成して貰った。クエスト用紙はA5で作成したのだが、(キンコーズでセルフ印刷すればかなり安く作成できる、1枚6〜8円程度)
A5用紙の片隅に書かれたナンバーは小さく、ちょっとやそっとでは見えない。偶然の産物ではあるが、「クエスト用紙の番号何番ですか!?」と参加者が聞く必要があった。


また、名札に自らバトルタグを書いてもらい、バトルタグを交換したり名前を覚える補助の役割を与えた。記念に持って帰ってもらいたかったし、おみやげの一つとして用意していたので紙面デザインはメンバー同士で協力して作成した。ヒーローのイラストはメンバーが書いたもの。(右端のおい宮さん以外)







この名札は名刺印刷サービスで作成した名刺だ。安価に高品質な名刺を手に入れる事ができたのも参加費を下げることが出来た要因(良かったら使ってあげて欲しい)
ちなみにクエスト用紙、名刺は入場料を払った時点で渡されるシステムにしたので入場証を兼ねることができた。






開催当日



開催一時間前にメンバーの車で移動。荷物を搬入した。
公民館は事前に市内在住メンバーが予約しておいてくれたので手続きはスムーズだった。
公民館はイベント開催の時、場所代として安くなる事が多いので本当にお勧め。

事前にプロジェクターの映像チェックやマイクチェック、間取りは確認しておいたのでかなり楽に設営作業を行うことが出来た。




13時30分より参加者入場開始。
30分で参加予定者の半分くらいは入場。開場1時間後あたりで新規入場者は0に。

(前日キャンセルが5名、当日になってのキャンセルが5名ほど、キャンセルなしで来場もなかった人が4名ほどいたのは参考までに。
ATNDの参加予約は一週間前で54名、実際来たのは42名。
20%ほどが来なかった計算、40%くらい来なくて当たり前なのでかなりいい方ではある。
キャンセルすることに対して参加者側のデメリットが0のイベントはキャンセル率が上がるはず。)


受付カウンターで名簿の確認と参加費を徴収。
クエストカウンターでクエスト用紙を渡しながら名刺に名前を書いてもらう。イベント説明もここで行うシステムだった。
受付カウンターとクエストカウンターに分け、受付で全てをやってしまわないのは入場スピードを上げるための工夫だ。
クエストの説明を受けた段階でクエストを達成可能になるので、参加者が能動的にクエストを消化するため参加者同士での会話が生まれていた。

「番号違ってもこのクエスト持ってるんですけど、手伝ってくれませんか」とそこから次のやりとりが生まれたのを目撃したときは内心ガッツポーズしていた。

炉端の酒場にログインするためにGPSやWifi、端末再起動が必要になる場合があった。
この場合は端末再起動をお願いした上で解決しなければ会場のWifiを紹介。ほぼ全員がネムシースキンを入手できたはずだ。



スタッフが多いので、割り振りした役割がある程度落ち着いたら参加者と遊んでもらうことにしていた。
クエストをスタッフにも消化してもらうことにしたのだが精神的に参加者と近いところから対応が出来ていたように見える。
クエストは同時消化不可能、最低3人と対戦する必要があるルールにしたのだが、開場後30分で最初のクエスト全完了報告が出ていた。
クエスト3つ、最低3戦クリアが条件で30分で最速クリアというのはクエストの難易度設定の上で基準になると思う。



炉端の喧嘩決勝戦を行った際は、炉端の喧嘩で勝ち試合数が自動計算されるようになっていたのでその勝数を比較した。
ハンデは厳しすぎるルールだったが、自動計算がされるだけでスタッフの負担が激減する。
スタンダードなルールでも計算を自分の端末で自動でやってくれたらすごく楽だと思う。



決勝戦参加者には別室に移動して頂き、その模様をプロジェクターで上映した。
実況はしない・させないというルールをスタッフ内で共有していたのだが、それでも盛り上がるべきところは盛り上がっていたのが好印象。
(ライトニングストームで2〜3点ダメージが出る所、2ダメージしか出せず大ピンチのシーンも…)
最後まで勝ち抜いたのは日本に来て間もないプレイヤー。アジアサーバーの資産が乏しいところでの参戦となったが、
構築ルールではない今回のルールに助けられ優勝となった。これはブリザードの思惑通りだっただろうか。



決勝の様子



その後はハースストーンクイズを行った。
動画編集が得意なスタッフに二択形式のクイズを30問作成してもらっていた。
実際に会場内を歩いてもらい、画面に対して右側か左側に立っていてもらい、その場所で回答を行うというシステムだ。
小ネタを入れるのが好きなスタッフだったのでいろいろなシーンで笑いが起きていた。

最後は決勝戦参加者、クイズ勝者に大物景品、マーロック3色を順番に選んでもらい進呈。






ここまで来て時間が余ってしまっていたため、残りは参加者同士の交流に充ててもらった。

参加者同士で偶然の出会いが起きたり、参加者の満足度、主催者側の満足度もかなり高いイベントになっていたと感じられる盛り上がりだった。






Blizzardに望むこと、今後の課題


・「コスパ」という言葉と戦わざるをえない

企業主催だから、ユーザー主催だからという区別をする人としない人がいる。
企業主催のイベントと同じ土俵でユーザー主催イベントは批評される立場になる。
参加費を徴収するならそれ以上の楽しみが手に入ると思われなければ参加者は減ってしまう。
どんなに自信があっても、参加していない人にはなかなか魅力を伝えることができない。
参加費以上に楽しんで返す、そういったこだわりや自信があったほうがいいとは思うが、難しい所。

・炉端機能の充実

勝敗自動計算機能は非常に便利、他の対戦モードでも使いたい。

・炉端の景品が欲しい

今回は大量買い付けによって参加賞を低価格で入手することが出来た。
それも難しい人はもっと高値で景品を入手することになる。大会支援をしてくれるサービスが有るなら賞品提供があると嬉しい。

・時間が短いという感想があった

正直なところ5時間でちょうどよかったと思うが、予定があったので3時間半のイベントが限界だった。
ある意味そういう感想が出るのは大前提のイベントだったが、次回に同じ規模で開催する場合は最低でも4時間くらいは欲しい。

・参加費が発生するイベントでの予約キャンセル者への対応

今回は予約キャンセル者が少ない方だったとは思うがやはり何人か出た。
50人上限で募集したイベントで予約は50人埋まったが、当日前日、無断キャンセルで42人に減っていた。
あと3人来ない人がいたら赤字が発生していた。




今回炉端のために用意したもののリスト。

・クエスト用紙
・名刺
・参加賞用の景品、闘技場の鍵キーホルダー、カードバックキーホルダー
・大物景品、マーロック
・ペン
・名刺入れ

スタッフの私物から使用したのは
・プロジェクター
・PC
・ガチャガチャベンダー
・100円玉

参加費は1000円、54人予約があり参加したのは42人のかなりの規模イベントとなった。

以下に参加者の感想ツイートを載せておく。


















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